延々と続く足跡。

二人の軌跡


、何故俺について来たんだ?」


それは晴れたある日、突然聞かれた問だった。


「さあ?」
「誤魔化すなよ」
「ごまかしてなんかないわ」


私は唇に人差し指を当て、微笑む。

ごまかしてないというその言葉は、半分嘘で半分本当。


「本当よ」


この気持ちを人に伝えるのは難しく。
また、伝える気もあまりない。


「・・・」

不服そうな顔。
それでも、教えてなんかあげない。


「ほら、早く行きましょう?
早くしないとまた吹雪くわ」

クラウドの手を引く。

「・・・ああ」


今歩いているのは北の地で、他の地域では見られない雪がふる。

もう少し歩けば、アイシクルロッジにたどり着けるだろう。
野宿するのには辛いので、早く町へ向かわなくては。


、急いで歩くと疲れるぞ」

手をひかれ、思わずぐらつく。


「っ、すまない」

クラウドはあわてて手を放し、私を支える。

私は体勢を整えると、クラウドの手をもう一度握った。


「ありがとう」
「いや、・・・手」

「私は握っていたいの。
だめかしら?」
「・・・・・・モンスターが出たらすぐ離せよ」


じんわりクラウドの顔が赤くなる。
私はなんだか面白くてまたにこりと笑う。

つないだ手のひらはじんわりと暖かかった。





「何?」

「さっきの答えを聞いてない」

あらやだ、せっかく忘れたと思ってたのに。

「秘密」
「っ!」

「ふふ、ほら町が見えたわ」


すぐ先には明かりが見え。
よかった今夜は暖かいところで寝られそう。


町の入り口で、そっと後ろを振り向けば。
二対の足跡が続いていた。


行くぞ」
「ええ」


クラウドついて来た理由はね、そんなの無いに等しいの。


ただ、世界を見るのが好きだった。
その時隣を歩いているのはあなたがいいと思ったの。


(2011.08.10)